活動記録

歯科健診総評(アキデンタルクリニック 伊藤彰英先生)

2022年6月16日

【先日、歯科健診をしてくださった、アキデンタルクリニック伊藤彰英先生から総評をいただきましたので参考にしてください】

毎年同様ですが、園児の歯科検診の際に診ていることは主に虫歯についてと歯並びについてを重点的に検診しております。

新型コロナ対策により園児も多くの時間マスクを着用していると思われます。
こういった影響もあってか、口呼吸が疑われる・口腔内への意識の低下・清掃不良といった園児が少数ですが見られました。

また、毎年の特徴ですが歯列不正(中でも過蓋咬合)のお子さんの割合が高いように感じております。
日々の生活の中で正常に口腔機能が発達できていない現れとなります。

少数の児童が多くの本数の虫歯・処置済み歯を持っていることから、ほとんどの御家庭では虫歯予防については問題なくできているかと考えられます。

○虫歯について
毎年同様になりますが、
毎朝の生活習慣として登園前には歯を磨いて、可能なら仕上げ磨きを少しの時間でも良いのでお願いしたいと思います。

虫歯予防の上で大事なことはシュガーコントロール、定期的なフッ化物(フッ素)の塗布、プラークコントロールです。

特に虫歯の原因になりそうなものとしてはアメ、チョコ、キャラメル、ソフトキャンディー、スポーツ飲料、ジュースです。
(野菜ジュースもその他のジュースと同様に虫歯リスクはあります)

甘い食べ物を食べたときには、可能なら早めに歯磨きをおこない、無理な場合でもお茶やお水を飲ませて糖分が口の中になるべく残らないようにしてあげてください。

食べ方によっても虫歯のなりやすさも変わります。ダラダラ食べ・飲みをしていますと、虫歯リスクの増加となります。
ご飯の時間、おやつの時間と時間を決めて、規則正しく食べる様にしていただけると良いと思います。

毎日の歯磨きの際に可能なら子供用の歯磨き粉を適正量使用していただくと、フッ化物の作用により虫歯になりにくくなります。
年齢によって使用可能なフッ化物の濃度が違いますので、低年齢の子供に大人用の歯磨き粉は使用しないようにご注意ください。

適正なフッ化物の使用により虫歯リスクは下がりますが万能ではなく、数割程度の虫歯抑制率です。
日々の歯磨き粉以外にも、フッ化物洗口、歯科医院での塗布の併用が望ましいと思います。

あとは当たり前に、行っている日々の歯磨きです。最低朝晩の一日二回は生活習慣・リズム作りとして行って頂くと良いと思います。
歯ブラシの毛先が広がっていますと清掃能力は落ちますので定期的な歯ブラシの交換が望ましいです。

○歯並びについて
心配な園児の割合が多く感じます。
健康な噛み合わせは子供達のお口の健康にもつながっていきます。
遺伝的な要因の可能性もありますが、生まれてからの生活習慣に起因するものも多い様です。

園児に多い不正咬合は過蓋(かがい)咬合です。
上下の奥歯で咬んだ時の前歯を見ます。
上の前歯によって下の前歯が全く見えなくなる場合は過蓋咬合となります。
下の前歯が2/3から全体が見える位が乳歯列期の正常な状態です。

過蓋咬合は顎の成長不足によって起こりやすくなります。
顎の成長不足は後々のさらなる不正咬合の原因となりますので注意が必要です。

原因は様々考えられますが、食事の内容や顎をしっかりつかって良く噛んでいるか、舌の位置、普段の姿勢、呼吸が正しく鼻呼吸になっているか等と言われております。

園児の中には奥歯で噛んでイーっと前歯を見せることが上手く出来ない児童もいます。
日頃からしっかりとお口を使って食事をしたり、歌をうたったり、大きくお口を開いたり、笑ったりして自然に健康に育てるとより良いように思います。

残念ながら健診で良くない結果がでてしまわれた園児は必ず歯科医院を受診してください。

幼稚園での歯科健診はあくまでもスクリーニングですので、見落としや見間違いもあるかと思います。受診先の歯科医に診断をしてもらい必要な処置や指導をしてもらってください。